フレームワークの効用と限界
昨日はK.I.T. (金沢工業大学)虎ノ門大学院の戦略思考要論2日目でした。
ケースを題材に、三谷さんが開発した「B3Cフレームワーク」を使って、市場・企業分析を行いました。
この「B3Cフレームワーク」、僕が言うのも何ですが非常によく出来ていると思いました。
優れていると感じた点は以下の2つです。
- 市場全体を俯瞰して見ることができる(3Cでも似たようなことは可能だが、お客さまと市場が混ぜこぜになりがち。B3Cは両者を明確に区別できる)
- 各要素の繋がりを見つけやすい(これも3Cだと要素の羅列のみになりがち)
「B3Cフレームワーク」を使うと、上記2つのメリットから、ただ要素が洗い出されるだけではなく、各要素がどのように関連しているかという構造(メカニズム)まで見えやすくなります。
しかし、もちろん、ただフレームワークを埋めるだけでは繋がりは見えてきません。各要素がどのように、なぜ繋がっているかについては、きちんと論理を追っていく必要があります。
ある意味、ここにフレームワークの限界があります。ただ埋めるためだけにフレームワークを使っても、それは情報整理にしかなりません。それは今の時代ではほぼ無価値です。
フレームワークを使う上で本当に大事なことは、空欄を埋めることではなく、そこから何が言えるかを論理的に抽出することであると、今回の講義を通じて実感しました。
「B3Cフレームワーク」は自分にとってまだまだ使いこなすほどには至っていないので、思考回路レベルでインストールするべく、どんどん使っていきたいと思います。
重要度の大きな所で差をつくる
今日は、4月から通い始めることにしたK.I.T. (金沢工業大学)虎ノ門大学院での初講義でした。
講義は戦略思考要論という科目で、何か特定のスキルを学ぶというより、土台となる思考力を養う講座です。14時から20時過ぎまで、小休止はあるものの、ほぼぶっ続けなのですが、あっという間でした。
その中で、今日一番身になったことは、タイトルにもある「重要度の大きな所で、差をつくる」です。
これ、簡単そうに見えるのですが、やってみると意外と難しいのです。
まず「重要度」です。これは何を対象にするかによっても変わってくるため、実は最初にやるべきことは「誰にとって重要なのか」を決めることになります。次に初めて「重要度」を決められるのですが、これもただ決めるだけではなく「なぜ重要だと言えるのか」「重要な要素はそれだと本当に言い切れるのか=他には無いのか」という疑問に耐えうるものでなければなりません。
次に「差をつける」です。これは「どのぐらい差が必要なのか」を明確にする必要があるため、定量化することが必要になります。「いくつ差をつければいいのか」はたまた「それはなぜなのか?」こんな問いに答えられるものでなければなりません。
こんなことをケーススタディを使いながら、学んでいきました。今日学んだことは知識として知っていてもあまり意味は無く、実践して身につけてこそ効果があるものなので、しばらくは意識的に使っていきたいと思います。
なお、以下に参照本をご紹介します。今日の講義内容とリンクしています。興味のある方は参考にしてみてください。
この3ヶ月間、営業で意識していた1つのこと
この3ヶ月は、色々な人の営業活動に同行させてもらう機会が多くありました。その中で、途中から「営業パーソンとして継続して成果を出すためのコツ」のようなものが浮かんできたので、今日はそれを言語化していきたいと思います。
そもそも、営業活動は仕事の中でも形式知化しにくいものと考えています。営業としての成果は、行動がダイレクトに成果に結びつくのではなく、文脈に依存する割合が他の仕事よりも多いからだと考えています。ちなみに、先日の赤羽さんのセミナーでも、営業活動は別とくくられていました。
ただ、成果を出すための思想・行動について、一定度は形式知化・言語化できるとも思います。
さて、前置きが長くなりましたが、僕がこの3ヶ月意識していたことを書いてみたいと思います。
それは『買って頂くための「理由」を創る』ことです。営業は、説得型だの、ヒアリング重視型だの、駆け引き型だの、成果を出すためのルートは人それぞれと言っても過言ではありません。
でも、どのルートの中であっても、共通する要素があります。それは「買うための理由」です。お客さまは、何らかの理由を持って、商品を購入します。たとえそれが直感であってもです。決意するからには何らかの理由を基にした、意思決定が働いています。だとしたら、営業場面でのコミュニケーションを「理由を創る」ことに絞り込んだらどうだろう?と考えたのです。
説得やヒアリングや駆け引きも、言わばどれも買って頂く理由を創るためのプロセスに過ぎません。僕も以前はヒアリング型の営業に特化していました。しかし「理由を創る」ということだけにフォーカスした結果、手段は時と場合に応じて選択できるようになり、お互いにとって不必要なお客さまとのコミュニケーションも少なくなりました。これは、原則として、商談における全てのコミュニケーションを「理由を創る」ことに絞り込んだからです。
具体的には、商談中において、お客さま自身の言葉で、買う理由を、創る、探す、気づくことができるよう、コミュニケーションをとっていきました。
こう聞くと、何だか味気ないものに移るかもしれません。また、誘導的に移るかもしれません。でも、実際の商談は決してそうではありません。もちろん雑談もしますし、一見、目の前の商談と関係ない話もします。あくまで原則という前提付きです。
また、商談自体は、こちらからの説明は極力押さえ、その後はお客さまが欲しいと思う理由、今のままでは欲しくないと思う理由について会話をしていくことが中心になりますし、こちらとしては理由の中身自体にこだわりがある訳でもないので、端から見ると自然な会話になっていると思います。
うまく行く商談というのは、お客さまの持つ「買うための理由」がかなり明確に共有されます。逆にうまく行かない商談は「買うための理由」が創れていないケースはもちろんのこと、そもそも「何で買いたいと思っているか」逆に「何で買いたくないと思っているのか?」があやふやなケースが多いです。
今後、普段の営業活動の中で「買って頂くための理由を意識したかどうか?」また「理由の量と質」という点にスポットを当てて振り返りをすると、より成果が上がるかもしれません。
愛を受け入れる痛みと繋がる
先週の3連休に、Co-Creationファシリテーター養成講座 応用編(ディープスキル)に参加してきました。以前参加した基礎編の続きになります。
約2,5日間、U理論をベースにしながら、安心安全かつ、真実が明かされる創造性溢れる場創りのためのあり方とスキルを学びました。
合宿中は、場を見立てては、あり方とそこから来る介入方法を選択し、そして、場からフィードバックをもらいながら、目指す場創りが出来ているかどうかを確認することを繰り返しました。
この講座を経ることで、場の安心・安全度を把握するセンス、そして安心・安全度を高めるための方法論と、場面に応じた介入手段の選択については、かなりレベルアップできた感覚があります。
一方、今後の課題についても見つかりました。それは「痛みを受け入れる、痛みと繋がる」ことです。
よくよく考えてみると、僕はひたすら「痛みを避ける」ということをやってきたように思います。知識を仕入れることも、知らないことそのものによる痛み、知らないことによって引き起こされる失敗(=痛み)を避けたいことから来ているのを自覚しています。
さらに、この「痛みを避ける」は、僕の場合、特に人との関わりに強く反映されていると感じています。本当は、人ともっと深く繋がりたいはずなのに、どこかそれを拒否してしまう、人と繋がることに疲弊感を感じてしまう、そんな自分がいます。
それはもしかしたら、人と繋がることによって引き起こされる痛みから逃げているのかもしれません。
ただ、年齢的にも、もうそんなことは言っていられないし、何より、創りたい未来を創ることができません。
「痛みを受け入れる、痛みと繋がる」というテーマ。焦らずじっくりと、ただ、直視して向き合っていきたいと思います。
真の変革は「自分が変わる」⇒「相手が変わる」⇒「結果が変わる」というプロセスをたどる
先週の週末は「チェンジ・オリジネーター養成講座」のスタッフとして、両国の国際センターファッションビルにて2日間を過ごしました。
このワークショップは、
MITスローン校経営学部上級講師であるC・オットー・シャーマー氏が提唱し、
世界中で注目・活用されている変革と創造の理論「U理論(Theory U)」を個人の変容に応用したもので、
2日間を通じて、U理論のプロセスが体験できるようにデザインされています。
でも、このワークショップ、ある意味パワフル過ぎるので、安易なお勧めは、敢えてしてきませんでした。
しかし今回参加してみて分かったこととして、
これまで以上に洗練されていて、気軽に、というと語弊がありますが、
こういうものに少しでも興味のあるというレベルであっても、自信を持って、お勧めできると感じました。
「相手を変える」というアプローチが、実は無力であり、
真の変革は「自分が変わる」⇒「相手が変わる」⇒「結果が変わる」であることを体験的に掴むことができます。
僕も仕事柄、たくさんのワークショップを企画したり、参加したりしていますが、
2日間でここまで劇的な変化を遂げる参加者のいるワークショップは、お目に掛かったことがありません。
スタッフとして参加した僕であっても、2日間の中で様々な気づきがあり、
実際に今日の段階でも、思いもよらぬ変化が訪れていて、驚いています。
と、なんだか宣伝めいてしまいましたが、もしご興味をお持ちの方がいればぜひ参加してみてください。次回は7月開催です。
自分がどう価値を発揮できるかを言語化しておく
先日、とある人から、仕事への取り組み姿勢を再認識させられるお話を伺いました。
というのは、その方の会社では、大型受注があると皆でお祝いをするそうです。ここまではよくある光景かもしれないのですが、ここからが普通の会社とは違います。
お祝いの後に「で、いったいどうやって金額以上の価値を発揮するんだい?」という会話がなされるらしいのです。しかも、別に嫌味とか、そういう雰囲気ではなく、ごく当たり前の会話として交わされるみたいです。
「こういう仕事の仕方ってカッコいいな~」と、この話を聞いた時に感じました。そして、更にカッコいいあり方としては「こうして価値を発揮するんだ!」ということがスムーズに答えられた時でしょう。(ここまでしているかまではお聞きできませんでしたが。。。)
もちろん、人=お金ではないので「金額以上の価値を発揮すること=その人の価値」になるとは思いませんが、仕事への取り組み姿勢としては、大事なことかと思います。
自分がどう価値を発揮できるかをいつでも言語化できるようにしておく、持っておきたい姿勢の一つです。
繰り返される問いに変化へのカギが隠されている
昨日のエントリーで「冒険への誘いは突然電話が鳴るようなもの。しかも電話に出ない限り、鳴り続ける。それでも電話に出ないでいると、ハンマーで殴られるような衝撃と共に誘いが訪れる」ということを書きました。
実は最近、この現象に近いことを感じています。さすがに「冒険への誘い」ではないのですが。。。
その現象とは「会う人会う人に同じような質問をされ、しかもその質問の答えに窮する」というものです。
その質問は…、「将来何をやりたいの?」という質問です。もちろん全く同じ質問という訳ではなく、実際は「キャリアビジョンってある?」とか、「どんな仕事をしていきたいの?」とかになりますが、言わんとしていることは同じです。
最初のうちは「まあ将来のことだから難しいよね」なんて流していたのですが、あまりにも似たようなことが続き、そこで初めて急に答えに困る自分がいることに気づきました。
もしかしたら、この問いが今の僕にとっての「電話」なのかもしれません。
皆さんはいかがでしょうか。似たようなシーンがなぜか続く、似たようなことが続けて起きる、そんな出来事に変化へのカギが隠されているのかもしれません。
「成長・変化のプロセスに共通してみられるもの」について
今日は『ファインディング・ジョー「英雄の法則」』という映画を見てきました。この映画は、神話学者ジョーゼフ・キャンベルが、世界中の神話を研究して発見した神話の法則「ヒーローズ・ジャーニー=英雄の旅」についての映画です。
ファインディング・ジョー「英雄の法則」日本語字幕版《予告編》.mov - YouTube
英雄の旅なんて言うと、自分には関係の無い縁遠いことに感じられてしまいますが、この法則、実は人が変化・成長する際に辿る共通のプロセスであると言われています。
色んな本でも紹介されているので、有名なものではありますが、この映画で見ると短い時間で理解を深めることができました。
その中でいくつか印象に残ったフレーズを紹介したいと思います。
- 冒険への誘いは突然電話が鳴るようなもの。しかも電話に出ない限り、鳴り続ける。それでも電話に出ないでいると、ハンマーで殴られるような衝撃と共に誘いが訪れる
- 進むべき道は誰かが既に歩んだ道の中には無い。誰も進んでいない道こそが、進むべき道なのである
- Follow your bliss. あなたの至福に従いなさい。
- 自分の外側にある怖れは内なるものの投影である。外側にいるように見える怪物は自分の内にもいる
- 旅の目的は敵を倒すことではない。旅から得たものを分かち合い、周囲の人を更なる旅に誘うことにある
この映画は一般上映はされておらず、自主上映会に出向くか、購入、いずれかの方法で観ることができます。購入してもさほど高くはないですし、一度観ればおそらく何度も観ることになるので、どうしてもすぐに観たいという人は買ってしまってもいいかもしれません。
自分の枠を広げる効果的な行動とは?
ここ2週間ほど、終業後はほぼ毎日人に会っています。しかも、別に選んでいるなんておこがましいことを言うつもりは無いのですが、皆さん目線の高い方ばかりです。
こういう日々を過ごしていくと、自分の世界がどんどん広がっていくのが体感できます。
自分の枠を広げるためにできることは、本を読んだり、他にも色々なことがありますが「人に会う」ことが一番手っ取り早いなと感じます。特にいまの自分にインスピレーションを与えてくれそうな人にお会いすると、目線が広がる以外にも、新たなアクションが生まれるなど、想定外のことも起こり、人生が動いていく感覚があります。
日常に少し飽きてしまっている、更に自分を成長させたいがどうしたらいいか分からない、そんな状態の時は「自分がインスピレーションを感じる人に会いにいく」(セミナーや講演会でもOK)と、きっと新たな展開が見えると思います。
U理論入門出版記念シンポジウムから感じた、U理論の可能性とこれから
昨日はU理論入門出版記念シンポジウムというイベントに、ボランティアスタッフとして参加した。このシンポジウムは、出版記念といいながら、本の説明などはほとんどなく、対話やワークで構成される珍しいイベントだった。
今日は、ボランティアスタッフとして体感したU理論の持つ可能性、そして参加者の皆さんの反応から感じたU理論のこれからについての2つについて書いてみたい。
まず一つ目であるボランティアスタッフとして体感したU理論の持つ可能性について。そもそもこのイベントは、いわゆるプロではなく、ボランティアスタッフによって運営されたイベントであった。映像撮影等を除き、ほぼすべてのパートをボランティアスタッフが企画・運営・担当した。もちろん、ボランティアスタッフはイベント開催のプロという訳でなく、別に本業がある中での参加であり、MTG等は平日の夜、休日などに行われた。しかも、準備に掛けられた時間は1ヶ月程度。
こんな制約条件がありながらも、当日大きな混乱を迎えることなく、無事に終了まで進めることができた。どこまで出来たかは分からないが、参加者の方からお褒めの言葉も頂けたらしく、アマチュアの集まりにしては質の高いイベントに出来たのではと我ながら感じている。
そして何より、ボランティアとしてチームに参加していて、とても楽しく充実していた。僕はどちらかというと脇役的な役割であったのだが、それでも参加しているという感覚は高く持つことができたし、達成感・充実感を感じることができた。
この背景には、集ったメンバーの想いの質や純度の高さがあったからだと思う。もちろんどれだけ関われるかなど、物理的な面で皆が高い参加ができた訳ではなかったが、このイベントに懸ける想いは、みな同じであったように思える。
このメンバーが集ったことそのものがU理論の持つ可能性を表した一面だと思っている。
次に2つ目のU理論のこれからについてだ。今回のイベント、大きく分けて2つの動機を持つ人が参加していたように思う。一つ目は「人・組織系」の動機を持つ人である。何らか組織や人に課題を感じていて、それを解決するためにU理論を学ぼうという人たちだ。2つ目は「イノベーション創出系」の動機を持つ人たちだ。現状の延長線上を超えた何かを生み出すための方法論としてU理論を学ぼうという人たちである。
そして、U理論の持つこれからの可能性とは「人・組織系」だけでなく「イノベーション創出系」へのシフトである。日本におけるU理論は、訳者の中土井さんや由佐さんが人材系のバックグラウンドであることから、リーダーシップ開発や組織開発の文脈で語られることが多い。しかし、U理論はイノベーションをもたらすための方法論でもあり、たとえばビジネス創出や社会問題解決にも応用できる考え方である。
今回のシンポジウムに参加している人の中には、こちらのイノベーション系のニーズを持つ人も一定参加されていたように感じる。個人的にも人・組織だけではなく、イノベーション系にも興味があるので、もう少しこちらの分野を掘り下げていきたいと考えている。
更に言うと、日本におけるU理論コミュニティには、「人・組織系」のコミュニティと「イノベーション創出系」のコミュニティがまだまだ分断状態にあると感じている。なぜそう感じるかというと、僕は両方のイベントに顔を出すことがあるのだが、両方で顔を合わせる人はほとんどいないのだ。どちらかのイベントに出る人は、どちらかのイベントでしか会わない。
あくまでこれは僕の見立てなので、真実であると言うつもりはないが、もう少しお互いの交流があったりすると、より日本も良くなっていくと思う。僕もその一翼を担っていけたらと思っている。
相手の反応的言動に反応しない
前回に引き続きオリンピックネタ。今日取り上げるのは例の森元首相の発言。
実は、最近個人的にテーマにしている「相手の反応的言動に反応しない」ということに極めて親和性の高い話題だったのでピックアップしてみた次第だ。
まず「相手の反応的言動に反応しない」というのは「相手が自分に向けて、恐れを源泉に行動をしてきた際に、その言動に対し反応的に対応しない」ということである。これでもまだ分かりにくい所があると思うので、さらに具体例を書いてみたい。
仕事の話なのだが、僕はいまあるお客さまの引き継ぎをしている。もうある程度引き継ぎは進んでいて、窓口も既に新任の者が担当してしばらく経っているのだが、お客さまとのMTGのセッティング、および提案の作成を依頼されたのだ。この依頼の仕方も、僕からは「あなたがやって当然」というトーンに感じられ、あまりいい気持ちがしなかった。
僕からすれば「もちろんサポートはするが、担当はあなたなのだから、あなたがお客さまとコミュニケーションをとらないといつまで経っても引き継げない」と感じ、思わず反応的に対応しそうになったのだが、その担当者は最近忙しくしていることをふと頭がよぎった。
そこで「いいですよ、引き受けますよ」と伝えたのだが、相手も思う所があったのか「全部を任せるのはさすがに良くないと思うのでサポートをしてほしい」と言われ、最終的な決着をみた。
おそらく、僕が反応的な気分を引きずったまま「担当は既にあなたなのだからあなたがやるべきだ」と言った場合とは、異なった結果になったと思う。その際に想定されたのは「とはいえあなたも前任なのだからその責任は果たすべきだ」等と言われ、ネガティブな気持ちを持ったまま作業に当たることになる、等のケースだ。
相手の反応的言動には、すぐに反応するのではなく「その背景にはどんな相手の感情やニーズがあるのか」を捉え、対応することで、結果お互い気持ちよく物事を進めることができる。
と、ここまでが(長い)前置き。
ここで冒頭の森元首相の発言に戻ってみる。僕もこの発言を目にしたときに、気分が悪くなったのだが「これは反応的な言動であって、逆にここまで言うということは、結構応援していたのでは?」という思いがよぎった。そこで、ネットをたどり発言をちゃんと読んでみると、確かに応援やねぎらいというトーンも無い訳では無いことが分かった。ここまで背景が読めてくると、先ほどのように「なんてこと言うんだ!」というようなネガティブな感情に支配されなくなった。「あの人も相変わらずだ」ぐらいのフラットな感情にシフトした。
という訳でめちゃくちゃ長くなってしまったのだが「相手の反応的言動に反応しない」ことって大事だ、ということを書きたかったのだ。
高梨選手の振る舞いからみる「ひとりでやる」と「みんなでやる」の違い
昨日の朝、高梨選手のチャレンジが4位という結果が幕を閉じたことが報道された。今日は、報道や高梨選手の振る舞いからの気づきを書いてみたい。
まず、報道を見ていて感じたことは「バッシングが想像以上に少ないこと」であった。昨今のメディアを見ていると、期待された結果が出ないと安易にバッシングに走る傾向がある。特に今回はメダルの大本命候補であったこともあり、これ見よがしに手のひらを返すと思っていたら、意外とそうでもなかった。
これにはいくつか理由があると思う。すぐに思いついて、かつインパクトも大きいのは、17歳という年齢に起因する幼い印象から来る、持つ保護者的なマインドだろう。僕らには「バッシングしてはかわいそう」という感情が、共通してなんとなくあるような気がする。
次にあるのは「メダルを逃すことへの想定」ことだろう。17歳でオリンピック初挑戦あんて、普通の精神状態で臨めるとは考えづらい。期待を掛ける一方で、どこか結果が出なくとも仕方が無い、と感じた人も一定数いたのではないだろうか。
そして「実はこれが一番効いている」と僕が考えている、3つ目の理由は「高梨選手の姿勢」だ。
高梨選手は飛ぶ前から「感謝の気持ちを持って飛びたい」と話していた。メダルが目の前に待っているとなると、ついつい自分本位になってしまってもおかしくないだろう。仮に自分に置き換えてみても、仕事で勝負が掛かった場面で「感謝の気持ちを持って取り組みたい」と本当に言える自信は正直無い。それにも関わらず高梨選手は「誰かのために」飛ぶ決意をしていた。この姿勢は本当に素晴らしいと思う。
また、そもそもなぜこの3つ目の理由が一番効いていると考えているかというと、それは、メダルを逃した後も「高梨選手を助ける人がどんどん出てきている」からだ。
例えば、こんな記事があったり、こんなフォローがあったと伝えられている。これは結果ではなく、高梨選手のこれまでの取り組み姿勢そのものを見てきたからこそ起こったことではないだろうか。
金メダルを取ってもちょっとした一言で一気に人が離れていく選手もいれば、たとえメダルに手が届かなくとも、どんどん人が助けてくれる選手もいる。果たして自分はいま、どちら側にいるだろうか?そんなことも、この一連の報道を見ながら考えさせられた。
優れた場創りのお手本
今日はマイメンターのお一人でもある天野さんのAwakening Tokyoのオープニングパーティーに参加。この類のものはあまり得意ではないけれど、皆さんの雰囲気がとても良くて楽しみながら参加することができた。
大事なところ、譲れない所を置きつつも、それ以外は「何であっても、誰であってもよし」そんな雰囲気が随所に溢れ出ており、場創りの肝はやはり参加者次第であることを再認識した。主催者だけでも決まらないし、参加者だけでも決まらない。両者の相互作用によって、場が創られていく。
特に「何であってもよし」と本当に心の底からお互いが思えるかがポイントになる。例えば「場の主旨に反するような言動があったとしても、そういう考えを持つ人がこの場にいてもOK」と主催者、参加者共に受け止められるかどうかだ。(受け入れる、でもないこともポイント)
これ、簡単そうに思えて本当に難しいのだが、上手なファシリテーターほど実践できている要素でもある。
今日は楽しかっただけでなく、優れた場創りのお手本を見せてもらい、とても刺激になった一日だった。
自分の教科書をつくる読書会 ♯003『U理論入門』を開催しました
今日、自分の教科書をつくる読書会 ♯003『U理論入門』を開催しました。人間の認知の限界を超えたU理論を言葉で説明するのは、予想していたとはいえ、なかなかハードだったのですが、参加者の皆さんにも支えられ、なんとか実施することができました。
読書会自体は、自己紹介や目的のシェアを行い、僕から簡単に内容やU理論の解説、その後は質問をお受けしながらみんなで対話をしていきました。
以下、頂いた感想です。
1.今回参加してみて「気づいたことや深く学んだこと」「特に印象に残ったこと」にはどんなことがありましたか?
・理論全体のつながりが明確になった
・U理論がそもそも何か全くわからない状態で参加しましたが、自分が作業療法で接してきた対象者の方が障害があっても生き生きとしている状態になるプロセスそのものだとえました。
・U理論はスピリチュアル的な悟りのプロセスを体系的に説明したものであるという見方が概ね間違ってなさそうだということ
2.今回参加してみて「今後活用できると思ったこと」「決意したこと」「これから行動してみようと思うこと」は何ですか?
・やってみます。でも、たぶん分かったつもりになっているだけなので、ワークショップに参加します。
・U理論をまず読みます。まちづくりにも使えそうですが、対象者の支援をする上で、非常に役立ちそうです。同じ職種の人たちに伝えたいです
・読んでみて他の本や理論をも横断しながら自分の活動に活かしたい
3.「これまで参加した他の読書会、ワークショップとの違い」はありましたか?もしあったとしたら、どんな所に違いを感じましたか?
・対話とレクチャーが混じっているところが良い
・とても少人数でしているので、質問もしやすく、参加者同士で「こんな感じ?」と話しながらできてことが良かったし、より理解が深まりました
・一方的な講義ではなく、対話形式だったので理解の大枠ができ、難解と感じていた内容に、手を付ける手がかりができた
4.この読書会に参加をオススメするとしたら、どんな人に紹介しますか?
・本気である本と格闘したいと思っている人
・他の人がどんな視点で本を読んでいるか興味がある人
・考えることが好きな人
・私の周りで知的好奇心を求めている人
5.この読書会があなたにとってより良いものになるとしたらどんな要素があると良いですか?
・大きくしないでください
・実践したあとにもう一度体験を語り合うことなんてできたら楽しそうだと思います
・次の実践ステップができること
個人的には、「分かりやすかった」「あの本を読むためのガイドになった」「ワークショップに行ってみようと思った」と言ってくださったのがとても嬉しかったです。やっぱり直接声を頂けるのって、本当にありがたいことです。
また続けて企画していこうと思います。
はあちゅうブログからの気づき
今朝、ツイッターで流れていたはあちゅうさんのブログを読んでいて、腑に落ちることがあったので、今日はそれについて触れてみたい。
そもそも、僕ははあちゅうさんに対して「何でそんなにキレイになることにこだわるのか?」と感じていた。まあ女性であるし、キレイになることが大事だというのは理解ができる。でも、別にそこまでキレイじゃない訳ではないのに、自分の身をさらけ出しながら、キレイになることを仕事にまでしている様子を見ていて、「何がそこまでさせるのか?」と気になっていた。
その疑問が、今日のブログを読んで解消した。
人が論理を超えた強いこだわりを持っている際には、そのこだわりの裏に、何かしら「願い」を抱いている。そして、その願いがコンプレックスや無意識の内に隠している自分のイヤな面だったりすると、願いは屈折した形で表出して、周囲の人に違和感を与えることもある。
僕は論理を超えた感情的なものにまで、合理性を求める傾向がある。そして、この行為は、目の前の人の「大事にしている願い」を見過ごしていたり、軽視していることに繋がるのかもしれない。
何か強いこだわりを持っている人に出会ったときには、その裏にある「大事な願いとは何か?」ということを自分の中で問い掛け、人との繋がりを持てるようにしたい。